Photo by Y.Ueno



ヨロン島は渡り鳥の島
飛び石状に連なる南西諸島の 島々は、渡り鳥にとっ ては、羽を休め栄養を補給するのに都合がいい。

南西諸島全体では、全確認種に占める渡り鳥の区分率は、冬鳥36%、旅鳥27%で、本州(四国、九州を含む)の、冬鳥約22%、旅鳥約14%(環境庁自然保護局 1991年3月)に比べて高い比率になっている。 これは、南西諸島が、渡り鳥にとって重要な渡りのルートになっていることを示唆している。

ヨロン島で確認された野鳥は、およそ170種。そのうち、渡ってきて冬を越す冬鳥は、およそ10%程度。

主な冬鳥 (渡ってきてヨロン島で冬を越す野鳥)
9月から10月頃渡ってきて、冬を越し、3月から4月頃まで滞在する鳥たち。年によって、種、滞在期間、数等に変動があります。種名の前の記号は越冬時の出現率です。◎(よく見る)>○(時々見る)>△(たまに見る)

サシバ

チョウゲンボウ(左 雄、右 雌)

シロハラ(左 雄、右 雌)

ハクセキレイ

キセキレイ


アオジ


ジョウビタキ(左:雄、右:雌)

ミサゴ

アオサギ

アマサギ(左:夏羽、下中:冬羽)

コサギ、チュウサギ、ダイサギ

ササゴイ

カイツブリ

コガモ(上:雄、下:雌)

キンクロハジロ

ムナグロ(冬羽)

イソシギ

サシバ(ワシタカ科)
・全長:およそ50cm、翼開長:100〜115cm

・方言名:ター(ワシタカ類の総称)
農耕地や草地などの開けた場所で、ネズミや昆虫などの小動物を捕って餌とする。与論島では、数十羽〜百羽程度が越冬する。渡来直後は、ピックイーと秋空に良く通る声でなく。

チョウゲンボウ(ハヤブサ科)
・全長:雄 33cm。雌 38.5cm。
・ 翼開長:69〜76cm ・方言名:ター

農耕地や草地で、ネズミや昆虫を捕らえて餌とする。サシバほど数は多くないが、空中の一点で制止する停空飛翔をよくするので目に付きやすい。サシバより一回り小さく、尾が長いスマートなハヤブサ科の鳥。

シロハラ(ヒタキ科ツグミ亜科)
・ 全長:24cm ・方言名:スー、又は、ツー

代表的な冬鳥の一つ。よく繁った林に棲息する。地上で餌を探すことが多く、落ち葉をはねのけて、昆虫やミミズを捕って餌にする。飛び立つときに目立つ尾の両端の白斑が特徴。方言名のスー(ツー)は、白っぽいお腹と、飛び立つときに発するツーッ(又はスーッ)と聞こえる鳴き声に由来?。

ハクセキレイ(セキレイ科)
・全長:21cm

白と黒のスマートな鳥。越冬中は1〜2羽で、草地や農耕地などの開けた場所で過ごす。牛舎周辺でもよく見かける。著しい波形を描いて飛びながら、「チチッ、チチッ」と澄んだ声で鳴く。渡りの時期(4月〜5月頃)には、数十羽の群が見られる。日没前に塒の近くの電線に集まる。多いときは百羽近くになることも。

キセキレイ(セキレイ科)
・ 全長:20cm ・方言名:ターフナジャー

長めの尾を上下に振りながら、水辺の周辺や、草地で餌を探す。生息環境、飛び方、鳴き声など、ハクセキレイに似るが、お腹の部分が黄色っぽい事で区別できる。渡りの時期には、群が観られる。方言名は、田んぼの周りを尾を上下に振りながら歩く姿に由来すると思われる。

アオジ
(ホオジロ科)
・ 全長:16cm

代表的な冬鳥の一つ。渡来数は冬鳥の中では多い方だが、草むらやキビ畑の中にいる事が多いので姿を見る機会は少ない。チッ、チッという金蔵的な強い鳴き声で確認できる。

ジョウビタキ(ヒタキ科ツグミ亜科)
・全長: 14cm

庭先や農耕地など、開けた場所で縄張りを持って冬を過ごす。一旦縄張りを確保すると、ずっとそこにいるので、観察しやすい。枝先や電線で、ヒーッ、ヒーッ、と良く通る声で鳴く。羽の中程の白斑が特徴。

ミサゴ(ワシタカ科)
・全長:雄 54cm、雌 64cm
・翼開長 155〜175cm

大型のタカ。主に冬鳥として渡来するが夏にも姿を見かける。数は少ないが、大きくて全体的に白っぽい配色と、停空飛翔を交えた特徴のある飛び方で、見つけやすい。海岸沿いで、魚を捕って餌にする。

アオサギ(サギ科)
・ 全長:93cm ・翼開長:160cm
サギの中では最大。主に冬鳥として渡来するが、夏にも姿を見かける。大きさとゆったりとした飛び方で、すぐに目に付く。海岸や水辺周辺で、魚やカエル、昆虫などを捕らえて餌とする。渡りの時期には数羽〜数十羽の群れをなす事がある。

アマサギ(サギ科)
・全長:50.5cm
シラサギ類の中では最小。主に旅鳥として、渡りの時期に群れで渡来するが、最近は越冬数も増えつつある。夏に少数の群れでいることもある。春から初夏にかけては、頭から首、背にオレンジ色の飾り羽が出る。秋から冬の間は、全身白。群れでいる事が多く、トラクターやハーベスターの後をついて虫を捕ったり、放牧牛に集る蝿や虫を捕る光景は、目を楽しませる。

コサギ(サギ科)
・ 全長:61cm
主に冬鳥として渡来するが、夏にも姿を見かける。海岸や水辺周辺で、魚や、水棲昆虫、甲殻類などを捕らえて餌にする。嘴が黒く、足指が黄色いのが特徴。夏羽では頭の後ろに2本の長い冠羽が出る。冬羽でも嘴が黒いのが特徴。

チュウサギ(サギ科)
・全長:68.5cm
主に冬鳥として渡来するが、夏にも姿を見かける。畑や草地で昆虫や爬虫類を捕って餌にする。水辺周辺で、魚や水棲昆虫を補食することも。体の大きさはダイサギとコサギの中間ぐらい。嘴は他より短い。冬羽では嘴は黄色で先が黒い。

ダイサギ(サギ科)
・ 全長:90cm
主に冬鳥として渡来するが、夏にも姿を見かける。白いサギの中では最大。海岸や水辺周辺で、魚や、甲殻類などを捕らえて餌にする。畑や草地で昆虫や小動物を補食することも。越冬数は少ない。渡りの時期には他のシラサギ類と数十羽ほどの群でいる事がある。冬羽では嘴は全体黄色。

ササゴイ(サギ科)
・ 全長:52cm
主に冬鳥として渡来する。海岸や水辺周辺で、魚や、甲殻類、昆虫などを捕らえて餌にする。餌が近づくのをじっと待って、射程距離に入ると、素早く首を伸ばして、嘴で突き刺したり、くわえて捕らえる。水中に飛び込んで捕る事もある。

カイツブリ(カイツブリ科)
・ 全長26cm
主に冬鳥として渡来するが、夏にも姿を見かける。ここ数年、繁殖も確認されていて、少数が留鳥化しつつある。潜水が得意な小型の水鳥で、餌をとるときや、人が近づいたときなど、水中に潜る。

コガモ(ガンカモ科)
・ 全長:37.5cm
小型のカモ。雄は、お尻の三角形が目立つ。雌は全身が褐色で、茶褐色のまだら模様が入る。カモ類の渡来が少ない与論島では、キンクロハジロとともに、比較的よく見られる。

キンクロハジロ(ガンカモ科)
・全長:40cm
集水池の増加にともなって、にここ数年渡来数が増えている。多いときは数十羽の群でいることもある。上面は黒っぽく、雄は脇から腹にかけて白い、雌は淡色。コガモとともに代表的な冬鳥になりつつある。

ムナグロ(チドリ科)
・全長:24cm ・方言名:チジュイ、パマチジュイ(シギチドリ類の総称)
数羽〜数十羽の群れで、海岸や、農耕地、草地で過ごす。昆虫や、ゴカイ、甲殻類を捕って餌とする。初夏の渡り前には、名前の由来である、喉から腹にかけて黒くなる夏羽が見られる。

イソシギ(シギ科)
・全長:20cm ・方言名:チジュイ、パマチジュイ(シギチドリ類の総称)
主に冬鳥として渡来するが、夏にも姿を見かける。シロチドリより少し大きい小型のシギ。尾を上下に良く振る。海岸や水田などの水辺の周辺で普通に見られる。

(参考文献:フィールドガイド日本の野鳥)


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