この夏、「火星の超大接近」が話題になっていた。
火星は、2年2ヶ月ごとに地球に接近する。これまで何度も観てきたが、米粒程の小っちゃな赤い星に、せいぜい極冠の白い点が見える程度。
いかに”超”がつく大接近とはいえ、5576万Kmも離れているという。しかも火星は地球の半分程しかない。つまり月の2倍程度しかない火星が月の145倍も離れた所にあるというのだから、大して期待はしていなかった。
最接近の日が近づくにつれ、マスコミの報道が激しくなった。「6万年ぶりの超大接近ーッ!!」、「次回は200年後ーッ!!」・・・云々。
「見逃したら一生観られないぞー!!」・・・だから「なにがなんでも観ろー!!」みたいな・・・。
これはもうほとんど脅迫である。
「そこまで言うなら観てやろうじゃないか!」、てことで、望遠鏡を引っぱり出した。
あとになって、「あのときの火星はすごかったよー!」なんて聞かされるのも悔しいし、「もしかしたら、ほんとにすごいかも」なんていう期待も少しはあったりして。
当日の火星は、以前の最接近時に比べると表面の模様や極冠がいくぶんはっきりしてはいたが、劇的にすごいと言う感じはなかった。集まってきた近所の方たちも、ちょっと期待しすぎたかな、という雰囲気だった。
とりあえず、2003年8月27日という歴史的な日に「6万年ぶりに超大接近した火星を観た」という記録だけは残せた。
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