マイ・フィールドの住人たち


2003年火星大接近

この夏、「火星の超大接近」が話題になっていた。
火星は、2年2ヶ月ごとに地球に接近する。これまで何度も観てきたが、米粒程の小っちゃな赤い星に、せいぜい極冠の白い点が見える程度。

いかに”超”がつく大接近とはいえ、5576万Kmも離れているという。しかも火星は地球の半分程しかない。つまり月の2倍程度しかない火星が月の145倍も離れた所にあるというのだから、大して期待はしていなかった。

最接近の日が近づくにつれ、マスコミの報道が激しくなった。「6万年ぶりの超大接近ーッ!!」「次回は200年後ーッ!!」・・・云々。 「見逃したら一生観られないぞー!!」・・・だから「なにがなんでも観ろー!!」みたいな・・・。

これはもうほとんど脅迫である。
「そこまで言うなら観てやろうじゃないか!」、てことで、望遠鏡を引っぱり出した。
あとになって、「あのときの火星はすごかったよー!」なんて聞かされるのも悔しいし、「もしかしたら、ほんとにすごいかも」なんていう期待も少しはあったりして。

当日の火星は、以前の最接近時に比べると表面の模様や極冠がいくぶんはっきりしてはいたが、劇的にすごいと言う感じはなかった。集まってきた近所の方たちも、ちょっと期待しすぎたかな、という雰囲気だった。

とりあえず、2003年8月27日という歴史的な日に「6万年ぶりに超大接近した火星を観た」という記録だけは残せた。

*上の写真は、望遠鏡に特殊なカメラを付けて撮影し、デジタル処理をしてプリントしたもの。望遠鏡で観た感じは、この映像をずーっと小さくして模様がかすかに見える程度でした。
8月27日、超大接近中の火星

位置は、みずがめ座の中程。
「視直径25.1”、-2.9等」は、他の星々を圧倒する明るさで輝いていた。
下の方に見えている明るい星は、みなみのうお座の1等星、ホーマルハウト
この辺りでは最も明るい恒星。 実視等級は+1.16。

実視等級-2.9の火星は、1等星ホーマルハウトのおよそ十倍の明るさで輝いていたことになる。

すぐ近くに天王星、やぎ座には海王星がいたが、いずれも暗すぎて双眼鏡でかろうじて見える程度だった。

天王星:
実視等級+5.7

海王星:
実視等級+
7.8


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