マイ・フィールドの住人たち

ツマムラサキマダラ
ベニモンアゲハ
アオタテハモドキ


新しい住人
ツマムラサキマダラ

(マダラチョウ科)前翅長47〜49o
オス
メス
かつて、与論島では迷蝶だった蝶。目に付くようになったのは、 95年の春ごろから。
その後、数が増え繁殖も確認されるようになり、いまでは島内の何処でも普通に見られる。

これまで確認できた食草(幼虫が食べる草木類)は、5種類。
リュウキュウテイカカズラキョウチクトウガジュマルホウライカガミ。それと、自宅の庭に植わっている蔓性の植物。名前は分からない。(手持ちの図鑑で見る限りでは、クリプトステギアとかいうのが似ているようだけど・・・?)そいつで幼虫が育っているのを、最近見つけた。10〜15mmぐらいまで育っていたが、葉っぱが無くなりつつあったので、リュウキュウテイカカズラに移した。この植物、手入れを怠ったせいか貧弱になってしまって、このごろは花も咲かない。葉っぱも落ちていく。もうすぐ、枯れる?。オオイタビカズラに産卵するのを見たことがあるが、幼虫が育つかは未確認。(どれも乳白色の樹液が出る植物なんだけど関係あるのでしょうか・・・?)
さなぎは、金属光沢のある、白銀色や、黄金色。オオゴマダラの蛹に似て超美麗。


メスのツマムラサキマダラが庭に飛んできたことがあった。「
そうだ!卵を産んでもらおう。そしたらわざわざ観察しに遠出しなくて済む」。てなわけで、こんな事も在ろうかと準備してあった鉢植えのリュウキュウテイカカズラを庭の隅から持ち出した。目に付くように、彼女の前へ鉢を置いて少し離れて待った無情にも通り過ぎる彼女鉢を移動して少し離れて待つそれる彼女鉢を移動して少し離れる引き返す彼女鉢を戻して少し離れる。気まぐれにふらふら飛び回る彼女の動きに合わせて、鉢を抱えて庭中うろうろ。30分程して腰が痛くなってきてあきらめた。食草を物色してる風ではあるのだが・・・。遊ばれてる感が無いでもない。
数日後、卵が3個、その鉢植えのリュウキュウテイカカズラの葉に乗っかっているのを見つけた。
余計なことしなくても、ちゃんと分かってる、てことですか。 (98年5月の出来事)

(役に立たない飼育記録)

4月24日:幼虫2頭 16mmと17mm を採集。
5月 1日:リュキュウテイカカズラを食って50mm まで成長した。
5月 2日:朝、試しに与えたガジュマルの葉をバリバリ食って昼脱走。行方不明。
5月 3日:朝、額縁とスピーカーの角に蛹発見。蛹化のために移動したらしい。その後、2頭とも羽化せず。よく見たら、横に小いさな穴発見。寄生バチ?。
5月30日:卵,幼虫各1採集(リュウキュウテイカカズラ)
5月31日:卵孵化

6月13日:蛹化、肌色
6月14日:一部プラチナ色
この後、記録無し。 (96年、限りなく無意味に近い観察日記より)

ベニモンアゲハ
(アゲハチョウ科)前翅長40〜55mm

1997年10月31日、 通りかかった藪の前でおかしな蝶 を見つけた。
シロオビアゲハのメスのようだが、 ちょっと様子が変。 後ろ羽縁に連なる赤紋が白っぽく、しかもやたら目立つ。 お腹も黒くない。 シロオビアゲハにしては、全体的に白っぽい。 「アルビノかもしれない。 シロオビアゲハが突然変異でアルビノ化した個体に違いない。 スゲーもん見つけた」 と、追いかけ回してなんとか撮影に成功。

後日、 専門の方に写真を見てもらった。
ベニモンアゲハです。 宮古島とか八重山諸島辺りに生息している。 ここで見つかるのは珍しい」。 だそうで、 これがベニモンアゲハとの最初の出会い。その後、 意識して探して、そして何度か出会っているうちにすっかり、ベニモンアゲハのファンになってしまった。

1998年には4例。 1999年は11例確認。
昨年は6例だったが、今年 (2001年) はすでに20例を越えている。 産卵の確認もあった。
この分だともしかして、
ツマムラサキマダラのように、ベニモンアゲハもまた、 新しい住人として土着の可能性があるのかな、などと期待を抱かせる。

ツマムラサキマダラが広がり始めた頃は、広い範囲でぱらぱらと見つかっていた。 一方、 ベニモンアゲハの方は、 確認例は増えているものの、その場所が数ヶ所に限られている。 その点が少し違う。
土着するにしても、見た目も派手なツマムラサキマダラのように爆発的に増えるのではなく、 優雅でお淑やかそうな見た目そのままに、 徐々に静かに慎ましやかに増えていくのではないか・・・と、素人ながら、 推測しているところ。「根拠に乏しい」といわれればそれまでだが、ベニモンファンの希望的観測として、長〜い目で見ていただきたいと・・・。近い将来必ずや
マイ・フィールドの住人として仲間入りしてくれるものと確信している。

食草は
ウマノスズクサ類ということだが、産卵はおおざっぱ。
近くに
リュウキュウウマノスズクサがあるのに、それには産卵しないで、牧草やススキ、枯れたセンダングサの茎や種など、その辺にあるものに卵を産み付けていた。
観察したのはこの1例だけで、これだけで結論づけるには早すぎるかもしれないが、いつもこんなもんじゃないのかなあ、ツマグロヒョウモンなんかみたいに・・・、たぶん。

一見、優雅そうでいて、でもなんかおっとりしていて細かいことを気にしない、いわゆる育ちのいい世間知らずのお嬢様風。見ていてそんな感じがする蝶。

食草を物色中?
ボクソウに産卵
センダングサの種に産卵
その卵

左の写真は7月20日撮影したもの。
8月30日にも、左の後ろ羽の尻尾が切れたベニモンアゲハを、同じ場所で確認。 これが同じ個体なら、成虫で1ヶ月以上生存していることになる。その可能性有り?。

ベニモンアゲハ(アゲハチョウ科)
形態:前翅長45〜50mm。地色は黒褐色、後翅の中央に白色班、亜外縁と後角に赤色班がある。腹部にも赤色班を持つ。尾状突起はジャコウアゲハよりずっと短い。

分布:宮古諸島、八重山諸島に広く分布する。1968年ごろより土着しはじめた。 (保育社発行、検索入門 渡辺康之著 チョウ@、より抜粋)


アオタテハモドキ
(タテハチョウ科)前翅長24〜27mm
2001年は、アオタテハモドキの当たり年。
アオタテハモドキは典型的なオープンランドの蝶。オープンランドの蝶は、迷蝶になりやすい。オープンランドとは、蝶の世界の環境認識の一つ。 田畑の周辺、荒れ地、市街地の空き地など木があっても低木で、林にならないところ。だそうだ。

1998年7月17日が最初の記録。その年は1例のみ。 (それ以前は、記録していないので不明。)
1999年は、7月に3例、10月に1例。合計4例。2000年は、0。今年(2001年)は、8月末現在、すでに15例確認。

畑のあぜ道や砂利道、ゲートボール場なんかでよく見かける。 台風など、強い風で流されてくる可能性は高い。 とは言っても、今年の初見日は6月14日、現時点で8月29日にも確認があり、二月半の間に15例は、ただ飛んで来たにしては多すぎる。世代交代した可能性もある。 「
現在のところ日本国内では八重山諸島だけに土着。」 とあるが、こいつも期待したい。 なにしろ、とても綺麗な蝶なのだ。 こんな蝶を年中見ることができたら。 想像しただけで楽しくなる。 (参考文献:成美堂出版 日本の蝶)

 

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