マイ・フィールドの住人たち


ヘール・ボップ彗星
C/1995 01(Hale−Bopp

1995年の発見以来、順調に増光してきたヘール・ボップ彗星が、
1997年春、地球に最も接近し、見頃を迎えた。予想光度が−1.8等と
非常に明るく、尾の長さも実長0.3AU、天球上の角度で7〜8度程度と
予想され、あのハレー彗星以上の天体ショーが期待された。
3月上旬、羽衣をまとった天女のような、艶やかで、セクシーな姿は、
与論島からも、見ることができた。

ヘール・ボップ彗星 C/1995 01(Hale−Bopp
撮影 : 1997年 3月 6日〜11日 与論島




3月9日の明け方、北東の空に昇ってきたヘール・ボップ彗星。



3月6日から11日にかけて、はくちょう座から、その東にある、
とかげ座の尻尾を横切るかたちで移動した。

3月6日 : はくちょう座と、とかげ座の境界あたり。

データ : (天文薄明開始時)
太陽高度 :−17°40’
地球からの距離 :1.423 a.u.
太陽からの距離 :1.026 a.u.
等級 : −1.1
赤経 : 21h 51m 07.7s
赤緯 : +36°54’04”
方位 : 56°48’
高度 : +17°10’29”
出 : 03:50
子午線通過 : 11:22
入り : 18:54
太陽からの離角 : 46°07’44”
位置角 : +339°10’


3 月9日 : とかげ座1番星から1.5°ほど北西(天頂方向)

データ : (天文薄明開始直後)
太陽高度 : −17°
地球からの距離 : 1.389 a.u.
太陽からの距離 : 1.003 a.u.
等級 : −1.3
赤経 : 22h 13m 00.0s
赤緯 : +39°04’35”
方位 : 54°00’00”
高度 : +16°18’55”
出 : 03:51
子午線通過 : 11:31
入り : 19:11
太陽からの離角 : 46°12’27”
位置角 : +342°28’


3月11日 : とかげ座6番星の3度ほど南東。

データ :(天文薄明開始直後)
太陽高度 : −16°31’
地球からの距離 : 1.369 a.u.
太陽からの距離 : 0.989 a.u.
等級 : −1.4
赤経 : 22h 27m 11.0s
赤緯 : +40°26’32”
方位 : 52°08’06”
高度 : +15°31’55”
出 : 03:53
子午線通過 : 11:38
入り : 19:24
太陽からの離角 : 46°10’51”
位置角 : +344°53’

 



春雨春霞、黄砂に花粉症、天候不順は早春の常。どっちつかずの天候にやきもき。好機中に一度は観ておきたい。観測好機(光度、最接近、天体への接近等)と、悪条件(高度、月明かり、天候等)が交錯して一喜一憂するのもまた、彗星観測の面白いところではある。

3月上旬、たまたま晴れたその日、ヘール・ボップ彗星が絶好の位置に!。天文薄明開始時(東の空が太陽の影響を受け始める時間)の高度が20°前後とまずまずの位置。新月前後で、月明かりの影響は無い。そして肉眼でもはっきりそれと分かる明るさで、ヘール・ボップ彗星が輝いていた。

造化の神の最高傑作に巡り会うに相応しい、なんとも心憎いばかりの演出。望遠鏡の視野に入れる。
「わ〜ッ・・・絶句!」。

数十分後常用薄明開始、明るくなっていく北東の空にフェイドアウトするヘール・ボップ彗星。
また会えるだろうか。周期彗星への登録はまだ無い。


参考資料:「新標準星図」「天文年間1997年版」「TheSkyAstronomy software」他



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